富裕層では無く、浮遊層

いやいや買い物に出たら、

やっぱり知り合いに、バッタリ!

芦屋の街は、小さくて、狭い、

 

高齢者とは、思えない雰囲気で、

後ろ姿にも、オーラがある。

黙って、通り過ぎればよいものを、

マスクはしてるが、後の祭り。

 

「あらー、お久しぶり!」

セレブの声は、一際高く、良くとおる。

コロナ禍など無関係なファッションに、

圧倒され、立ちすくむ。

 

手入れされた茶髪のヘヤーに、

鮮やかなオレンジのドレス。

こちらは、

黒いおかっぱ頭に、

涼しいだけが取りえの、グレーのワンピース。

月とスッポン!

 

「またねー、おげんきで!」

と言われても、

私は貴方の友人でも無い。

セレブの方々は、知ってるだけで、

人脈には載ってはいないし、

また、かすっても無い。

 

疲れが出たから、エステとネイル。

「ストレス取るには、これが一番」

と、言われても、

非常事態宣言下の自粛生活者の私には、

全くもって、よーわからんのである。

 

同じ地球の日本の兵庫県の、

芦屋の街に、住んでる者同士とは思えない。

白亜の宮殿に、

ご主人も健在で、

子供達も、立派になられ、

孫に恵まれ、可愛いペットが2匹いる。

 

どうしたって、

手も届かないべっ世界の人。

私にとっては、故郷ではあるが、

住みにくい場所に、すっかり変わった。

 

美しい景観に、豊かな富裕層が住む街、

電柱のない幹線道路に、外車が行き交い、

テレビ局も映せないエリアもある。

 

だから、

私は、シャボン玉の中にいる。

透明人間みたいな、浮遊層である。