終着駅を見つける旅

都会から、1時間、

車を走らせると、

青い空の下、美しい山河が見えてくる。

 

塵一つない、爽やかな風が吹き、

透明な、澄んだ川が流れる、

誰が、

この美しい街に、爆弾が落ちると、

想像するだろうか。

 

出口のない道を、

逃げてゆく人達を、

自分の人生に重ねれば、

他人事ではない。

 

移り変わる時代、

残りの人生設計を、リサーチする為に、

過疎と言われていた町に、

足を踏み入れた。

 

しかし、

知れば知るほど、

こののどかで、穏やかな町にも、

戦闘、差別、飢餓などの、

絶望の歴史があり、

長い年月をかけて、今がある。

 

悲しみの血統は、引き継がれ、

この町を、人々は守り続けてきた。

「田舎暮らし」も、してみたい、

と、ガサツに入れる場所ではない。

 

緑の田園の中を、

廃線を逃れて、一本の線路が、

続いている。

唯一、都会に繋がる列車も、

1日に数本しか、運行はしない。

 

ガソリン車も消えて、

EV車も、手が届かずに、

果てしなく続く山道を、

都会から来た人間は、越えようがない。

 

どこかの国が、突然、侵略、

経済制裁の余波で、食糧不足、

豊かだった日本が、崩壊する、

 

絵空事ではなくなった、

今の時代の中、

自分自身の終着駅を、

見つける旅は、続いて行く。