懐深く、隠し持った「鋭い刃物」
誰しも、
懐深く、隠し持った、
「鋭い刃物」が、ある。
一生の間に、
一度も、出すものではないが、
心掛けていても、
事と次第によっては、
手を忍ばせている。
「出したら、終わり」
と、思いながら、
他人事でも、
理不尽なことや、憤りを感じると、
憤怒の嵐が吹き荒ぶ。
覚えたての、
アンガーマネージメントも、
すっかり、忘れてしまうほどに、
「怒り」は、
大声を出すわけでもなく、
相手を罵倒するわけでも無い。
荒野に立つ、
細い、一本松に、
冷たい「雪嵐が舞う」が如く、
静かに、心が凍りついてゆく。
まるで、
「雪女」のように、
一瞬で、暖かさや優しさが
恨みに変わる。
自分より弱者に対しては、
何を言われても、
何をされても、
心の涙を、見てしまえば、
悲しみが、伝わってくる。
身を守るために、
与えられた、「懐刀」
見せてはいけない、「守り刀」。
「慎み深く」、
生きたいと、願いながら、
今でも、
「鋭い刃物」が、
胸に手を置けば、
心の奥深く、存在している。