「生きてさえいれば」

「追いついた春」に、

「往生際の悪い冬」が、

未だ、居座っている。

 

「待ちきれない」、

梅や桜の花の便りが、

チラホラと、聞こえて来る。

 

人は、

どれほどの、逆境の中からでも、

立ち上がり、未来へと向かう。

 

「見えない」ウイルスと、戦い、

「飛んでくる」ミサイルと、戦い、

「崩壊した」瓦礫の中から、

命の息吹きが、蘇る。

 

思わず、溢れでる、

「ため息」が、

冷たさから、暖かさに変わってゆく。

胸いっぱいの、

「深呼吸」から、新しい朝が始まる。

 

「生きる事」の、厳しさを、

嫌と言うほど味わい、

「生きる事」の、喜びを、

心に刻み込んでゆく。

 

「枯れる事のない」涙が、

悲しみを、洗い流して、

「誰かの手の温もり」が、

苦しみを、解放する。

 

大切だった事を、

思い知らされた、夜明けに、

「人」の、呼吸が聞こえて、

見間違えていた「幸せ感」が、

変容してゆく。

 

「生きてさえいれば」

未来も、希望も、夢も、

失ってはいない事に、

気づくのである。

 

今日という「扉」を、

力一杯開けて、踏み出せば、

一日のドラマが、幕を開ける。