胸騒ぎ

「こんな事、生まれて初めての経験ですわ」
とは、もう言えないくらい、今、日本の中で起こる出来事は、日常茶飯事になって来た。
のんきに、夕食を食べていたら、
あちこち、知り合いから電話が入る。
「芦屋川が氾濫しかけてるん?大丈夫?」
目の前の芦屋川を見ながら、
「まだ、大丈夫みたい」と、アホみたいな返事をする。
水が、胸元まで来て、初めて、こりゃ大変になる自分がいる。
と、いうほど、危険な目にあったことのない人間は、流されている自分の家を見て、絶句する
食べ物は腐るほどあり、道路で倒れている人も無く、海に囲まれ侵入者もめったにいない。
小さな国だが、全てに恵まれ、危機感は、相当薄い。
地震と大雨で、北は北海道から、南は九州まで、天変地異が来てもおかしくない状況に、
胸騒ぎが続いている。
「明日何が起こるかわからへんから、今日が大事!生きてるうちに色々しとこー」と、冗談めいた話で、笑い飛ばせない事態である。
冷蔵庫の中から、徐々に生ものが消えて、長期保存食的なものに、変わりつつある。
生活用品の中も、何だか防災色のものが増えて、棚の上から、小さな小物が姿を消して行く。
映画の中でみる人間が襲ってくる恐怖心では無く、イメージができないほどの出来事に、不安が広がる。
自分だけで無く、大切な人たちを、平和な暮らしを、一瞬で失なうことになる。
最近は、「安全な場所にいてね」という言葉が、サヨナラの後に必ず言ってる自分がいる。