テレビから流れてくる画像が、
あまりに悲惨な状況なので、
見ている方も、受け止められずにいる。
一瞬で、地獄絵と化した現実の中で、
被災に遭われた方の心境たるや、
想像を絶するものがある。
それなのに、泥水の中で、
襲いかかる災難をもろともせず、
変わり果てた家の瓦礫を、
泥水の床を、懸命に片付けておられる。
「大変ですね。明日からどうされますか?」
と、インタビューの心無い質問に、
「片付けて、ここで、住みますよ!」
と、初老の男性が、力強く答えた。
「凄いなー!」
その言葉に、見ている私の方が感動する。
人は、致命的な出来事に見舞われると、
「何で!」と、否定し、
「なぜ、私に?」と、怒り、
「助けてください!」と、祈り、
最後に、すべてを失った現実を受け止めて、
覚悟して、希望へと立ちあがる。
若い人はもとより、歳いった人も、
一瞬で、この段階を踏み、最後の力を、
振り絞る。
この現実を味わった人だけが知る、
神の仕業である。
悲惨な自然の災害に遭うたびに、
デジタル化された社会の無力さを感じる。
科学でもなく、AIロボットでもない、
人間の手だけが、人を助けることが出来る。
私に出来る事は、共に辛さを共有し、
無事に救われることを見届ける事しかない。