トイレに行ったら、手は洗おうよ!

実家にいた頃から、

医療系の仕事をしていた継母が、

クレゾール石鹸で、水まわりを消毒していた。

うがいも、水ではなくイソジンである。

 

今でこそ、少しは、臭いも改良されたが、

私の身体にはクレゾールの匂いがするらしく、

タクシーの運転手さんが、

「医療関係の方ですか?」

と聞かれる。

 

しかし、

近年、私の周りでは、掃除に消毒液まで、

使う人はいなくて、

薬局の隅っこに、時代遅れの様に、

数本位しか、置いてはいない。

 

だから、エタノール、クレゾール、

イソジンの三代巨匠は、

「そんな古臭いもん」と言われても、

私には欠かせないものであった。

 

しかし、このコロナ感染で、

一瞬で、市場から消えたのである。

仕入れても、あまり売れず、

端っこの隅っこの下の棚に、

置いてあったものが、

堂々、売れ行き抜群で、

「入荷の予定はございません」

の張り紙。

 

何十年、見向きもされなかった、

私の愛すべき商品が、日の目を見たのは、

嬉しいが、なくなって、悲しい。

 

誰からも、あまり必要とされず、

消毒液を使う掃除の仕方を教えても、

「フーン?」と、気のない返事。

 

おかげさまで、

私と、私の家族はインフルにもかからず、

消化不良一つ起こさず、守ってくれた。

命を救う価値ある医療品と思っている。

 

明治時代から昭和初期まで、

流行した結核感染で、コロナ以上の、

人々が、治療法がなく、亡くなっている。

 

後に、BCGというワクチンができて、

私たち女の子の腕にも、陰性の人は、

容赦なく注射され、ノースリーブを着ると、

何十年経っても、痕が目立っていた。

命が助かり、今がある。

 

結核もコロナも、初めは、風邪症状で

最後は肺を犯す病気である。

医学は進歩して、今は結核は、

治る病気にはなった。

 

いつの日か、

人間は、コロナウイルスを制覇する。

 

その日まで、ありとあらゆる方法で、

一人一人が戦わねばならない。

医者だけが、絶対助けれるとは限らない。

 

今回のコロナによって

家庭の中にも、人々の意識の中にも、

医学の知識を、学べたとすれば、

本当に価値あることになる。

 

たとえ、コロナが収束しても、

「喉元過ぎれば」にはせず、

未来に伝えていくべきだと思う。

 

せめて、風邪気味ならマスク着用!

外から帰ったら、うがいはしよう!

トイレを済ませたら、手を洗おうよ!