先祖の列に並ぶ前に
「先祖の列に、そろそろ並ぶのかしら?」
と、思っていたけれど、
最近になって、高齢者の人口が、
とうとう、約3分の1に達するようである。
私も、その数の内の一人。
科学や医療の進歩により、
人間は簡単に死ななくなったのである、
いえ、死ねなくなったのである。
だから、先祖の列は、行列にはならない。
私の時代の祖父母などは、
60代を過ぎると、
朝起きてみたら、息を引き取っていたとか、
炬燵でうたた寝したままとかが、よくあった。
周りからすれば、ホッとする死に方である。
寂しさはあるが、悲しみは薄く、
「あの人は最後まで、よう働きはった!」
と、皆んなで、亡き人を称えるのである。
最近は、コロナの一件もあり、
人工呼吸器に、人口心臓など、
延命治療の傾向になった。
世の中には、
国の為、人の為と、
綺麗事を並べて、何もせん人も多くいる。
若い時にこそ出来る事はあるが、
その内、その内と言ってる間に、
時は過ぎてゆく。
元気だった人も、
病気になったり、災害にあったり、
経済破綻したりと、
何が起こるか分からない時代になった。
「誰かのために、何かを為さねば」
と、大きな事を掲げる前に、
「貴女のすぐ隣にいる人が、困っている」
かも知れない。
たった、一人の人を助ける事も、
世の中に貢献していることになる。
私達、高齢者の力量は、小さいけれど、
まだ、出来ることはあるような気がする。