雨上がりの裏道
土曜の朝、
雨で、洗い流されて、
樹々も近所のお婆さんの玄関のお花も、
活きいきと、ピカピカ光ってる。
買い忘れたものを、買いに、
近くのコンビニに、歩いてるだけなのに、
何故か、穏やかな心になる。
灼熱のギラギラした太陽よりは、
秋雨の寂しげな空が好ましい。
近道の裏通りには、
少し年季の入った、落ち着いた家が、
ひっそりと、たたずんでいる。
今の建売住宅と違って、
其々に、住む人の心模様がおもんばかれる。
玄関先に、
高齢者のシルバーカーと、
可愛い三輪車が仲良く並んでると、
ホッとする。
「お金持ちなんだぞ!」
と、言わんばかりの家の玄関先には、
真っ白のベンツが、
水戸黄門の、
「この紋所が目に入らぬか」ばりの、
ベンツのマークをつけて、駐車中。
「英語、教えます」
の小さな看板の小さなお家。
ピタリとしまった入りにくそうなドア。
ピンポン押して、
明らかに英語圏で無い外人が出て来たら、
「どうしょう!」
行く気もないいけど、心配になる。
私の家から、たった5分のコンビニ。
そんなこと想像しながら、
到着した時には、
「何を買いに来たのかしら?」
と、すっかり買い物を忘れてしまった。
裏道を通ったら、
「ろくなことないわ」と、
道のせいにして、婆さんは呟いた。