笑顔の無い、真摯な生き方の中で。

痛いほどの冷たさを感じながら、

吹きっ晒しのタクシー乗り場から、

市内のデパートへ、出かけた。

 

暮れに買い込んだ食料も、底をつき、

日用品も、不足し出した。

最低限の外出で、致し方なしである

 

「高齢」と言う持病があるので、

人生の中では、前代未聞の自粛生活。

「家にじーっとしてたら、ストレスやわ!」

と、友人達と言っていた頃もあるが、

結構、やってみれば、自宅待機は好きかも。

 

朝起きたままの、

パジャマか、部屋着かわからん服で、

一日中、だらだらと過ごす。

お化粧もせず、お洒落もしなくて、

人と会って、気遣いもない。

 

外出しない事より、

仕事や、人との付き合いの方が、

ストレスだった事を再発見。

 

作りたいお料理に挑戦したり、

気になっていた本を、読んだり、

音楽を聴きながら、ぼーっとしたり、

馬車馬の様に、動き続けて来た時間を、

今、この歳で、取り戻せている。

 

「年寄りは、3日寝たら、寝たきり老人」

と、聞いてはいたし、

年寄りにも、叱咤激励して来た。

 

コロナ期が始まって、約一年、

波はあったが、

何とか、寝たきりにもならんと、

無事、超えてこれた事に、感謝である。

 

「こんな事に、遭遇するんやったら、

早く死にたかったわ!」

と、怒りをぶつける友人もいる。

 

決して、嬉しくはないが、

世界のパンデミックの中で、

人間が立ち上がってゆく姿を知り、

「神の畏れ」の意味を知る日々は、

貴重な時間であったと思う。

 

この寒さの中でも、

思いのほか、人手も多く、

関西に、まもなく発令される、

「非常事態宣言」に備えて、

カートのカゴが山盛りである。

 

ほとんど行き交う人達の顔から、

笑顔は消えている。

心一つになって、真剣に、

「日本の未来」を願っているから、

今は笑えないのである。

 

人の事を思える、

真摯な生き方の中にいる。

いつの日か、

みんなが笑顔になる事を、祈りながら、

其々の暮らしを、過ごしている。