今日だけの春

騙し打ちのような春の日差しに、

桜の花が咲くかもしれない。

そんな妄想に駆られてしまう。

 

乱世の世の中を、嘲笑うかのように、

自然は、いつも悠々とやってくる。

 

ドタバタの政府、

統治できないリーダー、

それでも、

人は働き、守るべきものを確保する。

 

当たり前の常識の中で、

知識と教養を持ちえた人は、

冷静に、粛々と時を超えて行く。

 

桜舞い散る春が、

約束通りに来ることを信じている。

さらさらと流れる川面に、

新しい生命が、生まれる。

 

どれほどの苦しみも、厳しさも、

温かな日差しの中では、消えて行く。

幾度もの絶望を繰り返し、

人は賢明に生きてきた証がある。

 

心穏やかに、

うちなる声を、耳を潜めて聴いたなら、

自分の行為行動は、示されて行く。

共に、未来を見るために、

そして、大切な人と出会う為に。

 

今日だけの春を味わいながら、

一日を、過ごしていきたい。