「生活保護、申請しようと思う」
知り合いの高齢者から、
連絡がはいった。
若い頃から、
シングルマザーで、働き続け、
子供が巣立ってからは、
自由に一人で働ける家政婦業に、
転職。
美容師やヘルパーの資格もあり、
就労先では、重宝がられた様である。
正規雇用もできたのに、
「もったいない話!」である。
家政婦さんを頼むくらいの、
富裕層の家庭ではあるが、
中に入れば、
魑魅魍魎の家族にも遭遇したという。
「そうやろねー」と、変に納得!
気持ちはあっても、
身体がついてこない歳になり、
少し、「ひと休み」したくなったという。
「そうそう、もう十分!」
もちろん、
年齢、健康、収入等、
生活保護の条件は満たしてはいたが、
審査の中で、
身内の承認があり、連絡されるというと、
「やっぱり、やめときます!」と即答。
訳あって、実家を出てから、
誰にも頼らず、
女一人で生き抜いてきた人生、
今更、
「生活保護」は知られたくないという。
「よう、分かるわ!」
と、痛いほど、気持ちは伝わるが、
後期高齢者を過ぎた人に、
これ以上、
「まだ、頑張れ!」とは、言えない。
支給される月々の金額は、
大した事はないけれど、
医療費、介護費が無料になり、
残された人生はまだ長く、
徐々に、半人前になっていく。
「死ぬのは、致し方ない、
病気になって死ぬのは、いいんですよ」
と、毅然と言われた。
それ以上、
彼女の魂に、触れる事は許されない。
人には、
「命より大切な事」が、ある。
私にも、
「自分が守ってきた生き方」があったから、
貴方の悲しみも切なさも、
貴方らしさで、キラキラと光ってる。
最後に、
「また、困ったら連絡してね!」
と、命の綱は、繋げたのである。