「狂った果実」が落ちている夏休み

朝、

明るい日差しに、

思わず、窓を開ければ、

「いつもと変わらぬ」

ブルーの空に、グリーンの樹々、

 

穏やかな、風景が、

数時間後には

燃えるような、「熱射の風景」

 

どこにもない影を、探しながら、

「靴底」が、焼けてゆく。

かつて、

これほどの、季節には、

であったことはなく、

爽やかな「夏」の面影など、

どこにもない。

 

昼間に焼けた、

「真夏の風景」も、

夕暮れ時には、山のむこうから、

涼しげな風が、

白く、冷たく変えてゆく。

 

紺地に、

白い百合の花模様の「ゆかた」

長い髪を結い上げたうなじが、

幼さなの残る少女を、

一瞬、

美しい大人の女性に変えてゆく、

 

「帰り損ねた」赤とんぼ、

居場所を探して、飛んでいる。

始まったばかりの「夏休み」が、

楽しいだけでは終わらない

「不安な季節」になった。

 

得体の知れない「感染症

元気に遊べば「熱中症

魔物が潜む「川や池」

家族に殺される「幼い子供」

 

狂った果実」が、

どこにでも、落ちていることを、

心して、

無事に夏が過ぎてくれることを、

祈ってやまない。