「勇気」が、眼を覚ます。

「打倒、関西財閥」

北の部屋のガラス窓を、全開にして

錚々たる、大豪邸が立ち並ぶ、

風景を眺めていた、

 

「先生」が、

確かにつぶやいたのを、

聞き逃しはしなかったと、言う。

 

いずれ、

「この言葉」の、深い意味が、

そして、

「その言葉」が、恐怖の始まりに

なる事を、

「誰一人」知る由もなかっのである。

 

そして、30年後に、

日本の歴史に残る程の、

「大事」を、しでかすとは、

「誰一人」予想すらできなかったのである。

その時代の、ママ達は、

いわゆる、「共稼ぎ」などなく、

妻は、

読んで字の如く、「家内」を守り、

夫は、

「元気で外が良い」のごとく、

企業戦士達の、全盛期であった。

 

命を賭けて、

日本の経済の為に、

家族の為に、

がむしゃらに、家庭を顧みず、

働いていた時代。

 

彼らの稼いできたお金が、

密かに、

神様のもとへと、

黒いルートを通って、

海を渡っていたのである。

 

子供を、送り出した後の、

ママ達の貴重な時間、

「嫁いだ家系」の後継の子供達を、

立派に育てる為に、

富裕層の間で、密かに広がる、

「教養講座」と称する、

お茶会形式の勉強会が、あったと言う。

 

日本の、

歴代最長総理大臣の命を、

一瞬で奪った、

悲しみの摂理と、なったのである。

 

光の如くの速さで、

経済が発展していく日本、

「失われていく」愛の代償を、

取り戻す為に、

支払われてきた、家系の資産、

 

「救われれる為」に、

「救う為」に、

行われたはずの、行為は、

我欲の心に転じて、狂い出す。

 

失ったものが、お金だけなら、

いつの日か、

心の片隅に残っている、

「勇気」が、

眼を覚ます時が、来るのである。