「一人ぼっち」のテーブルで

「幸せですか」

久しぶりに、聴く言葉である、

 

あまりに、唐突だったから、

思わず、

「まあ、その、多分」と、

言葉にならない返事をした。

 

こんな話になるなら、

もう少し、

「ましなワンピース」を、

着てくれば、良かったと、

後悔している。

 

そんな会話が、

できる人でもなく、

深い話を、

する相手でもなかったのに、

「うっかり」、

簡単に会いに来てしまった。

 

いきなり、相手が

「すみません」

なんだか、哀しそうに見えたから、

思わず、

「聴いてしまいました」と、云う。

 

随分、

遠くまで来てしまったことを、

後悔していたから、

「しんどそうな」

疲れた顔をしていたのかも、

 

得意の作り笑いをして、

「ぜんぜん!大丈夫」

反対語がバレていることを、

強がり言ってることを、

この人は知っている。

 

二本の線路が、

どこかの駅で、一本になっても、

まだ、乗り続けて、

終着駅の、

小さな「駅のレストラン」

 

「生意気」にも、

真っ白なテーブルクロスが、

高級感を醸し出している。

ブラックのコーヒーを、

頼んでもいないのに、

二人の前に、暖かな湯気が、

ゆらゆらと、揺れている。

 

不幸せだったから、

「ここに来たのよ」、

今よりは、幸せになれるかもと、

「いい加減な気持ち」も、

なきにしもあらず。

 

貴方に会うことが目的ではなく、

会うまでの、長い時間の中で、

夢やら、希望が、見え隠れして、

「幸せだっただけ」

 

「一人ぼっち」の、

テーブルで、

コーヒーを飲みながら、

懐かしい想い出が、蘇ってゆく。