第三話「億万長者」になる事

チーコの母親は、

私の母親の、母の、

一番下の妹の子供である。

 

「いとこ」ではなく、

「はとこ」というらしいが、

どうあれ、「血縁関係」である、

よって、

母親同士も、容姿も似ているが、

私達も、よく似ている。

 

幼い頃から、

チーコは、母親に連れられて、

私の芦屋の自宅に、来ていた。

後で分かったことだが、

「チーコの母親」は、

保険会社の営業ウーマンで、

良い意味で、やり手の女性であった。

 

「私の母」は、

昔から、身体も弱く、

父からすれば、

四人の子供を、残して死なれたら、

自分が困るので、

できる限りの、保険はかけていたようである。

 

私達は、

そんな大人たちの、利害関係には関係なく

会えば、、親戚ということもあり、

夕方近くまで、子供部屋の片隅で、

別世界の時間を、共有していた、!

 

「チーコは」漫画を描くのが、

プロ並みで、

「私は」文章を書いたりするのが、

得意だったので、

二人が揃うと、

大学ノート、一冊分の漫画本は、

軽く作り上げていた。

 

この時代、

女の子の月刊漫画は、

「リボン」や「なかよし」くらいしか、

出版されておらず、

もっと、面白いものをと、

二人は、密かに思っていたかもしれない。

 

この時、

今から、60年前の

二人の人生の、一コマである、

この場面があって、

私達が、「億万長者」になる事を、

「当時の神様」さえも、

想像していなかった事である。

 

未来において、

パソコン、スマホ、ゲーム、

AI、アバター

そして、アニメの世界から、

女の子が飛び出して、

まさか、ライブを展開するなど、

誰一人、考えられなかったのである。