「第六話」生まれ変わる瞬間がある
何故か、
14歳の時、
「親の結婚式」に出席、
花嫁は、
ウエディングドレスでもなく、
角隠しの白無垢でも無い、
60年ほど前の事なので、
記憶は、薄いが、
それ以来、
家の中に、「母と言われる人」が来た。
お互い再婚同士のカップルであり、
父は「不労所得者」
母は「医学博士」
なんとも、妙なる二人である。
「愛」と、「情」が、
どちらかにあれば、
「繋ぎ目」は、しっかりとできただろうが、
今に至っては、
付き合いのない
親戚家族と、なってしまった。
「チーコもユーコ」も、
なんの不自由もなく、不都合もなく、
「スクスク、スイスイ」と、
生きてきた女性には、見える。
世の中、
ほぼ、そんな人はいなくて、
「反対」と、認識していれば、
その後の付き合いに、問題はない。
親戚なので、
「流れる血統」も、
「歴史的背景」も、似ているが、
其々の、
違った人格、育った環境が違えば、
これ程、「距離感」がある事に、
驚かされることがある。
たった、一つ共通している点は、
すでに、
二人は、後期高齢者を越えてはいるが、
心の奥底にある「娘」が、
何一つ変わらず存在している。
女性達は、姿形が、
「婆さん」に移り変わる過程の中で、
新しい細胞に、
生まれ変わる瞬間がある。
いつの日か、迎え打つ、
「次なる人生」のために、
毅然と空を見上げる少女が、
そこにいるのである。