束の間の眠りの中で

湿った春が、道の真ん中で立ち止まり、
冬が明けるのを待っている。
だまし絵の様な朝の光。
窓ガラスの中の偽りの青空。
「みんなが健康であります様に」
と祈る言葉が、綺麗事。
うつつを抜かした人の中では、神はいない。
映るテレビの裏側に真実がある。
研ぎ澄まされた静謐な部屋で、動き出す思考。
果てしなく白い闇夜で、天の川を見上げる
神と人との境界線が見える。
俗物化した日々の中、美しいものだけを求めて彷徨う。
浮かんだシャボン玉の中に、私がいる。
貴方に近寄れば消える恐怖と戦いながら、
未来での再会を希っている。