ストレートネック

人間の首は、重い頭を支えるように、少しカーブしている。
私の首は、まっすぐで、その先にぶら下がる感じで頭がついている。
首を支えきれていないように思う。

レントゲン写真を見るなり、ドクターが
「変形性頚椎症、いわゆるストレートネックです。」
と即答された。
「えーっ!それって、スマホ病?」

2、3日前から、首を動かすたびにグキーと音がして、頭に痛みが走る症状。
昨日の夜、夕食を作っていたら、頭全体を覆うような鈍痛が来て、
「これは、やばいわ!」
と、脳神経科に飛び込んだ。

てっきり、歳もあり、いつか脳血管症になるだろうと、待ってはいないが覚悟していた。
ところが、診断は脳の中ではなく、首。

脳の中の画像には、隙間もなければ白い斑点もない。
「頭は綺麗ですよー、よく使ったはるんですねー。」
と言われて、嬉しいような悲しいような、
でも、首がへなへなでは、どうすんのん?

頭のてっぺんから、足の先まで病名をつけたら、病気のデパートである。
「先生、治ります?」
「いいえ、治りません。首、引っ張って維持するだけですなー」
と、当たり前のように言われる。

リハ室を見渡せば、なんだか機械ロボットに操られたような異様な世界である。
誰一人、嫌とも言わず、治る見込みもないが、ましにはなると信じて、黙々と、首を吊ったり、逆さになったり、ぶら下がったりしている。

私は、リハビリを断り、老化を受け入れながら、ぼつぼつ生きるかと、覚悟して病院を後にした。