穴が空いた様に、忘却してゆく

最近、

昔の出来事、

良き事も、悪しき事も、忘れてゆく。

 

人は、

「思い出したくない事」も、

いっぱいあるけど、

「忘れてはいけない事」も、

おおく、ある。

 

古くからの友人が、

とんちの如く、

「始まりは市民プールからよね」

と、言う。

 

「エーッ、何それ!」

なんのことがさっぱらわからず、

かけらも思い出さず、

今更聞けない。

 

起こった出来事は、

たいしたことではないが、

同じ歳の友人が、覚えている事を、

私が、すっかり忘れている事が、

そら恐ろしい。

 

「ぽつんぽつん」と、

穴が空いた様に、忘却してゆく。

最初と最後が繋がらなくなったら、

「あんた誰?」

「ここは何処?」になる。

 

まして、

相手が、うまくかわしてくれず、

大切な事を忘れた私を、

罵倒したら、

「行き場所のない」人間になってゆく。

 

理由はともかく、

この世で、出会って、何十年、

交わした言葉は数知れず、

二人の時間は、

「永遠へと繋がり」、

昔の事は溶けてゆく。

 

歳を重ねてゆくうちに、

美学な風景、

美学な草花、

そして、

「人間の美しい心模様」が、

忘れえぬ、貴重な想い出となり、

「新しい人生」を創り出す。