「第十一話」奇跡の世界で生かされている。

「チーコも、ユーコ」も、

少女時代、母親がいなかったので、

お互いに、

「怖い目」にはあってはきたが、

胸に秘めたまま、大人になった。

 

昔から、

少女をみれば、

涎を垂らして、近づいてくる、

「悪魔のようなおっさん」は、

どこにでも存在していた。

 

近所に住んでる、

食料品屋の主人、

小学校の、

担任の先生

仕事もせず、ブラブラしている、

精神のおかしな若者、

 

「チーコ」は、近所のおじさんに、

狙われて、

「ユーコ」は、親戚のおじさんに、

狙われた。

二人とも、大事には至らなかったが、

心には、深い傷となって、残っている。

 

親に、言うわけにもいかず、

訴えたところで、黙らされるだけの話、

いかに、

その時代の女性の人権が、

なかったことか!

 

二人は、

「でも生きててよかった!」

と、思ってる。

善人ぶった笑顔の裏に、

悪魔のような男の本性が、

隠れている事を知り、

「怖い経験」を

「知恵と知識」に、変換してゆく。

 

「命さえあれば」

それ以上、大切なものは無いかと、

問われれば、

命より大切な事も、人によっては、

有るかもしれない。

 

生きたくても、

完治不能な、病気、

突然の事件や事故、

今回のような自然災害

「人は死ぬ!」

生きてる方が、不思議な位だとしたら、

私たちは、「奇跡の世界」で生かされている。

 

全ての生命体は、

この世に生まれて、

いつの日か、死に至る。

 

それまでに与えられし、

「貴重な時間」のなかで、

出逢う人、関わる人、

何千年を超えて、やっと出会えた人達、

 

どんなドラマが展開されて来たのかを、

知りたくて、

「チーコとユーコ」は、

月明かりの中に、

大切なものを抱きしめて、

14階まで、上がってくる人達の、

「悲しみや苦しみ」を

解き明かしてゆかねばならない。