お金と命どちらを取りますか?

今ほど、物が氾濫していなかった私の若い頃
お店に飾られた、ふわふわとしたシフォンのワンピースや、ちょっと高めのピンヒールや、キャリヤウーマンが持つ大人びたバックを見ると、たまらなく物が欲しかったのです。
変な話ですが、それを買うお金が欲しかったのではなかったのです。
お金は目的のための手段であり、それほど、クローズアップされませんでした。
働けば手に入っていましたから。
結婚し、他人の夫からお給料をもらい始めた頃から、そのお金は家族のためのお金になり、目的が物ではなくお金になりました。
そして、お金の量で、人のステータスが決まる時代になりましたが、気が付いた時には自分が使えないほどの資産となって、比例して年を重ねた人が、今の高齢者です。
動けなくなった身体を介護されて、住みなれた我が家ではなく、どこの町にあるのかわからない老人ホームの小さな部屋で人生の終わりを過ごしているのです。
知らない人が食事を運び、背中を流してくれて下着まで履かせてくれる。
その時に、こんな事をしてもらう事が目的ではなかったと!
私は、自分のためにも人の為にも、思い切りお金を使ったので、今は小さな命と数多くの素敵な思い出が残りました。
来世も、命とお金どちらを選びますかと聞かれたら、勿論、素敵な貧しさを手に入れたいと思っています。