迫害と偏見から生まれる若者文化。

コソッと5センチずつ、短くしていった。
もちろんスカート丈を。
「お前はパンパン?か!」と言われ、
茶髪にすると、「ケトウ?の真似するな!」
残念ながら、こんな時代に遭遇した10代。
よくも、まあこんな差別言葉で、自分の娘たちを愚弄したものである。
ましてや、ボーイフレンドなどの姿が見え隠れしただけで、不良のレッテル。
戦争が終わって、まだ16、7年しか経ってはいない時代、しかし、敗戦国の悲しさもあり、
怒涛の様にアメリカやイギリスから様々な文化が流入して、若者達には影響力は多大ではあった。
外国の雑誌、ファッション、食べ物など、当時の大人達は抵抗があったかも知れないけれど、私達は、その文化をためらいもなく、吸収していったのである。
まるで、鎖国から解き放された時のように。
先進国の条件は、勿論、経済、科学、医学の進歩も重要であるが、私は文化が成熟した大人の国を作ると思っている。
人間が波乱万丈の人生を経て、人格を形成するように、国もまた、世界と絡みながら独自の文化を形成して行く。
若者達の目を覆うような行動も、考えもつかないような素晴らしい発想も、全てを含んで未来を創造して行く。
たとえ、今はいびつな形に見えても、歳を重ねて、同じ時代の中で、同じ風の吹く中で、同じ形に収まっていくのです。
もはや、今では、頭や身体から、煙も出ない思考になったけれど、同じ思いで走り続けている若者達を、優しい目で見つめていたい。