臓器を失う事

「心って、身体のどこにあると思う?」
と、生徒さんたちに質問したことがあった。
脳!と答えた人、胸と答えた人!
二つに分かれた。
でも、解剖しても、どちらにも、見つからないかもと言ったら、変に納得した。
私は、40代の時、身体の一部を病で、失くした。
命優先なので悩むことなく、決断をした。
人間の肉体の中で、髪の毛一本でも、いらない部分はない。
それでも、長い人生の中で、肉体の一部を失う経験をしている人が多くいる。
命との交換条件であるため、取る前も、取った後も、壮絶な苦しみである。
結果、命が助かれば、「良かったね」ではあるが、あるべきものが無くなる事を、
肉体も、心も、受け止めていかねばならない。
無意識の世界の中で、なんの狂いもなく流れていた川が、いきなり遮断され、往き惑う訳だから、意識の目が、失くしたものを探し始める。
神様が作られた人間を、越えるものは、どれほど科学が進歩しても、現れないだろうと思う。
失う度に、自らの肉体が、修復して行く。
優秀なドクターは、悪い部分を、切断し、見事に臓器を縫合するが、傷ついた心を繋ぎ止めるのは、自分自身である。
肉体の一部が、消えても、目では見えない魂はどこかに存在し、その人を支援し続けている。
だから、今も、活き活きと、生きている私が、
いる。