半信半疑、友人とのおつきあいで始まった、
「占い師」の女性との出会い。
私自身は、かなり現実的で、論理的であったので、この手のものは興味本位の域で終わるだろうと考えていた。
紹介者の友人も半世紀近い関係の中で、疑う余地もなく同行した。
こぼれるような笑顔で、迎えて下さる先生は、
一般的な占い師と呼ばれる雰囲気ではない方であった。
豊富な知識と知性溢れる言葉に、圧倒され魅了された私は、それ以来、事あるごとにアドバイスを受けに通い続けたのである。
まるで魔法にかかったように、先生の言葉は、魂に深く浸透し、心が解放されて行ったのを覚えている。
生まれてきた意味、降りかかる難儀や人間関係の仕組みを、見事に紐解かれていかれる様は、
人間離れした技のように見えたのである。
私もまた、専門分野で「先生」と呼ばれる仕事をしていたので、教え方、学び方は熟知しており、その先生との時間は完璧なコラボレーションと感じていた。
宇宙の法則を解く先生との出会いから始まった壮大なミッションを辿る旅は官能の日々であり、スピリチャルな知識が私の中に積み上げられて行った。
もちろん、知る人ぞ知るの「大先生」であったので、信者になるほどのファンも多く、特に女性たちの羨望の的にはなっていた。
ある時、寂しさと悲しみを抱えた人達が、有象無象の様に「先生」にすがりつき、その救いの代償金が、大きなデスクの上に積み上げられて行く様を見たのである。
清らかなスピリチャルの世界が、人間世界の我欲によって、一瞬で引き摺り下ろされる。
私にとっての「先生」から学んだ知識は、福祉に携わる現場の世界で、人間学として活き活きと弱者救済の支援に、今も活かされているのである。
