コンプレックス

言い出したら、欠点は山ほどある。
以前、スクーリングの時間に、
「貴方の欠点を言ってください」
というと、皆、次から次に答えた。
しかし、
「では、長所は?」
と言うと、考え込むのである。
日本人は、自分を褒めると自慢をしているように取られるので、引いてしまう。
少し、周りが見え始め、物心ついた頃から、
「コンプレックス」は芽生える。
自分に対する他者の言葉(特に親兄弟姉妹)。
鏡の中の自分の容姿。
幼い頃のトラウマ。
原因は数々あって、その場面と感情が合致した図柄が、脳に記憶され、無意識の中で行動行為思考に現れる。
そのことを排除するために、反動で動いてしまうこともある。
どちらにしても、厄介なものである。
そのことを凝視する勇気もなく、パンドラーの箱にしまいこむが、何か起こるたびに見え隠れする。
私の欠点は、家の中で父の存在が大きく、支配と権力に抑圧されて、何か言い返すと怖かったので、不都合なことや不愉快な事があっても、知らん顔して通り過ぎる癖があった。
無意識ではあるが、深い所で揺れ動く自分がいたのである。
それが満杯になると、すでに話し合う余地もなく、結論が出てしまう。
「あの子は言い出したら、人の言う事聞かないからね」
と言うレッテルが貼られる。
自分の容姿に不満がある人は、
「人間顔じゃないよ。心!」
と言う言葉を受け止めて、善人目指して突き進むが、自分の中の悪意と葛藤を繰り返す。
生まれて初めて会う男性、女性が両親なので、
親の対応いかんによっては、ファザコン、マザコンと呼ばれる成長しない大人になる。
多分、私も得体の知れないコンプレックスによって、道を誤り、失敗を繰り返し、失って来たものは多くある。
人を教える職業についたことから、出来るだけ真実を伝える信条を理念と掲げた。
客観的に人間の本質を捉えて、心理的、論理的判断を自分に当てはめて開示して行く中で、
分析して納得したのである。
誰もが持っている長所を見出し、放置されたままではなく、育てる役割の立場になった。
自分の中のコンプレックスに、気が付かないよりは気付いた瞬間から、それは、貴方の長所となり得るのである。