マイナス思考

「貴女はマイナス思考やからね。」
姉から、意外なことを言われた。
幼い頃から、好奇心は強い、気は強い、土壇場に強いと、褒めてんのか、けなしてんのか分からない様に言われて来た。
あまりに辛いことや苦しいことに出会い過ぎて、物事が良き方向には簡単に行かないことを知り過ぎたのかも知れない。
「じゃあ聞くけど、大丈夫って本当に信じてる?」
と言い返した。
姉の生きて来た人生の中で、それほど不幸せな人も少なく、自分自身もそうならないように努力して来た結果だと言う。
私は、願っても祈っても、奇跡が起こらない限り救われない人達と出会って来た。
悲劇はドラマだけではなく、至る所で声なき悲鳴が聞こえてくる。
どんな小さな声も聞き逃すことをしなかっただけである。
貧しさと豊かさ、障害者と健常者は善悪ではなく、どちらの運命を与えられても、どう生き抜いていくかである。
微力な私には救うことはできないけれど、
心模様に添い続け、共に、全てを見届けることしか出来ないのである。
どうあがいても、プラスにはなれない世界があり、その中に私は存在している。
でも、不幸せではないことは確かである。
そう言う意味では、「マイナス思考」と言われても、致し方なしかな。