引きこもりの楽しさ

毛ばたき片手に、部屋の中をゴソゴソしているのが、好きである。
冬は引きこもりの季節と言われ、私にとっては有難い。
「寒いからね・・・」
「足が冷えるから・・・」
お誘いを、堂々と断れる。
昔から、集団苦手、グループ弱い性格で、買い物も、旅も単独行動。
独りが寂しくない性格は、未だ続いている。
社会の中では、人間関係を構築せねばならない法則にはなっているが、私はワンちゃんくらいにしか、心が解放できないでいる。
しかし、仕事になると、目の前に100人いても平気である。
相手が変われど、主変わらずで、何時間でも講義が出来る。
それなのに、家族、親戚、友人、知り合い関係に関しては、その時は楽しいが後でどっと疲れる。
トラウマなのか、防御本能が強いのか、テーブルを挟んだ関係が好ましい。
女性ばかり四、五人集まれば、その迫力に卒倒しそうになる。
男性においては、睨み合うことはあっても、見つめ会うことはないので、色恋沙汰にはならないのである。
親子、兄弟、夫婦、友人、師弟関係論が、頭にあって、マニュアル化されているのかも知れない。
心情は、離れたところに大切に保管され、傷つかない様、触られない様に無意識でしているとすれば、かなり重症かなと思う。
人並みに喜怒哀楽合わせ持ち、不純な行為や、世間の不条理に反応し、憤怒する。
美しい人間愛に触れ、自然の美学にも感動する感性もある。
人間が嫌いなのではなく、人間に失望しているのかも知れない。
温かな日差しの中で、窓を開けて爽やかな風を入れながら、内側からしっかり鍵をかけて、
独り静かに暮らしたい。
と思い始めている事が、危ないラインである。
まもなくやって来る輝かしい春が、そんな私を引っ張り出してくれる。