目を開けて眠る癖

朝目を覚ますと、また、右目がやられていた。
痛くて、目が開かず、顔を洗ってゆっくりと、瞼を開けると、真っ赤っか!
その上、すりガラスが貼られたように、ぼやけて見えないのである。
「またか!」と、経験済みではあるが、とりあえず、一目散に眼科へ。
「目を開いて、寝てはるんやね?大きな傷がついてますわー」
なんだか、笑ってるようにも見える顔で、眼科の女医さんが、診てくれた。
「どうしたらいいですか?アイマスク?ゴーグル?眼帯?」
と尋ねたら、
「そうやね、進化論になるけど、人間は昔、魚やったとしたら、あの眼球は水で守られていたけど、今は、空気に晒されてるからね。特に乾燥したからっ風に触れただけで、傷つくのよ」
と、いきなり、ユニークな返事をされるので、私は、この女医さんの所に来るのである。
意識がなく、目が開いたまま眠ってるので、防ぎようがないらしい。
目に何をかぶせて寝てもいいけど、ウエットなアイマスクはダメよ!とおっしゃる。
無意識に取り外して、口にかぶさったら窒息するからと、またもや、不思議な答えである。
「私は、心身症で徘徊はしませんが、ストレスで悪夢を見たり、パッチリ目を開けてゾンビのように、眠っているかもしれません」
と言うと、本気にされたのか、
睡眠薬飲んで寝る方が良いかもね」
眼科に来ているのだが、この女医さんと話してると心療内科に来ている気がして来るのが、不思議である。
確かに、一人の患者に30分は時間がかかるのは、高齢者に対して丁寧に、傾聴、受容が出来ているのかもしれない。
だから、いつも、満員である。
ちょいと美人で、ちょいと気さくで、ちょいとやり手だけど、一緒に食事に行ったら、どんな話にも対応できる素敵な女性であることは確実である。
痛みも腫れも、あまり変わってはいないのに、朝見てもらった安心感で、今晩はぐっすり眠れそうな気がする。
「そうか!からっ風で、傷がつくんや」